自然数の平方の和を求める、次の公式
について、この公式の碁石を用いた導出を考えてみます。
まず、黒い石を下のように並べて、4個の正方形をつくります。
このとき、黒い石の個数の合計は1から4までの自然数の平方の和と等しくなっています。n個の正方形をつくったときは、黒い石の個数の合計は1からnまでの自然数の平方の和と等しくなっており、
(黒い石の個数の合計)
が成り立ちます。
また、n番目の正方形を作っている黒い石の個数は、n番目の自然数の平方であり、上の公式の第n項と等しくなっています。
次に、上の正方形の”段差”になっている部分に白い石を置いていきます。すると、下のように一つの大きな長方形ができあがります。
ここで、この長方形の面積を考えてみます。縦の長さは4ですが、これは正方形を4個並べたことによります。そのため,n個の正方形をならべたときには、縦の長さはnになります。
次に、横の長さを考えると、横の長さは1から4までの自然数の和になっています。つまり、n個の正方形を並べた時には、横の長さは1からnまでの自然数の和、すなわち、
(長方形の横の長さ)
となります。よって、この長方形の面積は、
(面積)
となります.
ところで、1からnまでの自然数の平方の和は、黒い石の個数の合計で表せました。そこで、黒い石の個数の合計を、長方形の面積と関連付けると、
(黒い石の個数の合計) (長方形の面積) (白い石の個数の合計)
(白い石の個数の合計)
となります。では、白い石の個数の合計はどのように表せるのでしょうか。
n番目の正方形を作った時に生まれる段差を埋めるのに、白い石は1からn-1までの自然数の和だけ必要なことがわかります。
2番目の正方形を作った時には、白い石が1個必要であり、3番目の正方形を作った時には、白い石が1+2=3個必要であり、4番目の正方形を作った時には1+2+3=6個必要という具合です。
そのため、正方形を4個作る時には、白い石が合計1+3+6=10個必要ということになります。
1からn-1までの自然数の和は、
で表せるので、正方形をn個作る時に必要な白い石の個数の合計は、
(白い石の個数の合計)
と表せます。よって、下の等式が成り立ち、これを以下のように変形していくと、冒頭に示した公式が現れます。