ニュートンの運動方程式を用いて,万有引力により固定質点へと近づく質点の運動(1次元)を表す式を導出します.
固定質点を とし,万有引力により に近づく質点を とします.右向きを正とした座標をとり, の座標を , の座標を とします.
は万有引力により に左向きに引っ張られるため,次の運動方程式が成り立ちます.
ここで, は万有引力定数, は の質量, は の質量, は時刻を表します. は両辺を で割ることで次式になります.
は2階非線形常微分方程式です.筆者が一般的な解法を知らないため,ここでは微分方程式を眺めて解を想像する方法を取ります.
まず,微分方程式の階数2と右辺の の指数2に注目します.これから, は で2度微分すると,元の関数のー2乗を生成するような関数であるとわかります.ここで,例えば次のような関数を想像します.
ここで, はいずれも定数です. を で2度微分して,元の関数のー2乗を生成するためには,まず について次式が成り立つ必要があります.
で求めた の値を に代入して で2度微分してみます.
ここで, をもう一度眺めると, が を満たすためには次式が成り立つ必要があるとわかります.
なお,上の式で の符号を-に限定したのは, を の増加に伴い減少する関数とするためです.
残る定数 を定めるために初期条件を設定します.初期条件として, のとき を設定します.すると,次式が成り立ちます.
以上で , , がすべて定まったので, の解は次式で表されます.
また, に を代入すると, が に到達する時刻 が求まります.
から, が に到達する時刻は の 乗に比例して遅れることがわかります.
上図は , (地球の質量), として を計算した結果です.空気抵抗がなければ,高度1000kmから落下しても30秒とかからず地表に到達してしまうようです.
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